特許行政年次報告書2022年版について
今月27日に特許行政年次報告書2022年版が公表されました。
それによりますと、特許庁への特許出願件数は2008年以降、毎年のように減少傾向が続いていたところ、2020年に28万7,747件だったのが2021年に28万8,402件となり、ごくわずかながら出願件数が増加に転じ、減少傾向が止まったことがわかりました。
一方、外国人による日本への特許出願件数は2017年に5万8,189件だったのが2021年には6万6,748件にまで増加し、増加傾向が続いております。主な国別にみると、米国が2万3,949件→2万4,999件(1,050件増加)、欧州が2万0,559件→2万0924件(365件増加)
中国が4,172件→9,369件(5,197件増加、2.24倍)となっており、中国からの出願件数が大幅に増加しております。
特許庁への出願件数が2021年に増加に転じたとはいえ、増加した件数は655件と、ごくわずかであり、その一方、外国人による出願件数が増加傾向にある、という点からみて、日本人による日本への特許出願件数は依然、減少傾向にある、ということができます。
日本は、もともと日本人(内国人)による出願件数の比率が高かったところ、外国人からの出願が増加してきており、外国人による出願比率は2021年には23%(2012年は16%)にまで増加しております。
そうすると、日本人による出願が減少し、外国人による出願が増加することから、いずれ米国のように、外国人の出願比率が50%をこえていくかもしれません。
その米国は、2012年以降、出願件数がじりじりと増える増加基調にあり、米国人の出願も、増加基調にあります。
そのため、米国では、米国人が外国人に負けずに出願をしっかりと進めており、それ故、自国の特許が外国人に独占されるような心配はまったくありません。
しかし、日本は日本人による出願が減少傾向のままですので、もしかすると、将来、自国の特許が外国人に独占されるような事態が起こってしまうかもしれません(あまり考えたくはありませんが)。
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